2025年9月28日

認知機能とは?
「認知機能とは、日常生活を送るうえで欠かせない脳の働きの総称です。
具体的には、
・ものを覚える力(記憶力)
・言葉を理解し使う力(言語能力)
・注意を向け続ける力(注意力)
・物事を判断する力(判断力)
といった能力を指します。
加齢によって自然に変化することもあれば、体調不良や強いストレスの影響で一時的に低下することもあります。
認知機能検査の目的
認知機能検査は、今のご自身の脳の働きの状態を知るための検査です。
たとえば次のようなことが気になるときに、医師が必要と判断して行います。
・最近、もの忘れが気になる
・集中しづらくなってきた
・言いたい言葉が出にくい
・ちょっとしたミスが増えた
これらの症状があるからといって、必ずしも認知症というわけではありません。
検査の結果は診察や生活状況などとあわせて評価し、現在の状態を理解することや、今後の生活・治療の参考にするために役立てられます。
当院で行える認知機能検査の種類
所要時間は内容によって異なりますが、30分前後で終わることが多いです。検査中はスタッフがそばでサポートしますので、安心して受けていただけます。
ミニメンタルステート検査(MMSE)
世界的に広く用いられている検査で、記憶や計算、言葉の理解などを幅広く確認します。10分ほどで行えるシンプルな検査です。
改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
日本で最も普及している認知症検査で、質問に答える形で進めます。短時間で実施でき、外来でよく使われます。
前頭葉機能検査バッテリー(FAB)
注意力、計画性、言語の流暢さなど、前頭葉の働きを確認するための検査です。
ノイズパレイドリアテスト
模様の中に実際には存在しない顔や形が「見えてしまう」現象を利用して、認知症に特徴的な認知の変化を評価します。
時計描画テスト(CDT)
時計の絵を描いてもらう簡単な検査で、空間の把握や計画性をみます。
立方体透視図模写(CCT)
立方体(サイコロの形)の絵を見本にして描き写す検査です。
立体を捉える力や構成力を確認でき、認知症で特徴的な変化が出ることがあります。
高齢者用うつ病スクリーニング尺度(GDS)
高齢者の抑うつ症状を評価する質問紙です。うつ病は物忘れや意欲低下など、認知症と似た症状を示すことがあり、鑑別に役立ちます。
当院での実施について
当院では、医師が診察の中で必要と判断した場合に、認知機能検査を行っています。
検査だけで診断がつくわけではありませんが、状態を把握し、よりよいサポートにつなげる大切な情報になります。
また、「症状は特にないけれど、自分の記憶力や注意力などを確認してみたい」という方には、自費で受けられるこころの健康診断(メンタルドック)の中に「メモリーチェックドック」をご用意しています。
これは検診的な位置づけであり、気になる症状がなくても受けていただけます。心理士によるフィードバックもついており、結果はご自身の健康管理や生活習慣の見直しに役立ち、将来の安心にもつながります。
診断までの流れ
1.診察
医師が問診を行い、症状や生活のご様子をお聞きします。必要に応じて認知機能検査を実施します。
2.認知機能検査
紙と鉛筆を用いた課題(質問や描画など)を行い、記憶力・注意力・判断力などを確認します。
所要時間は内容により異なりますが、30分前後で終了することが多いです。
3.結果の評価
認知機能検査の結果は、診察内容や生活状況とあわせて総合的に評価します。
4.追加検査・医療機関との連携
必要に応じて、MRIなどの画像検査を地域の医療機関と連携して行うことがあります。
認知機能検査の結果と合わせて総合的に判断することで、より正確な診断につながります。
5.今後の方針
状態に応じて、治療、生活の工夫、ご家族へのサポート体制などを一緒に考えていきます。
まとめ
認知機能検査は、「今の自分の脳の働きを知るための検査」です。
不安に思うことや気になる症状があるとき、検査を受けることで安心につながることもあります。
「もしかして…」と思うときには、ひとりで抱え込まずにお気軽にご相談ください。